2026年9月6日、10kmで36分48秒が出た。自己ベストを3分3秒更新した。
その翌々日、時計の予測タイムを見た。フルマラソン 2時間46分47秒。
私のフルマラソンの自己ベストは3時間36分35秒だ。2025年の北海道マラソン。差は49分48秒ある。
2027年にフルでサブ3を狙うと公言している以上、この49分48秒が何なのかを、自分で分かっていないといけない。この記事では、去年のフルマラソンの全42kmのラップを開いて、その49分48秒がどこで消えたのかを1kmずつ追う。

まず、数字を全部並べる
実測と予測を一枚に並べる。すべて自分のデータだ。
| タイム | いつ | |
|---|---|---|
| 10km 自己ベスト | 36分48秒 | 2026/9/6 石狩サーモンマラソン |
| ハーフ 自己ベスト | 1時間23分31秒 | 2026/7/5 Fビレッジハーフマラソン |
| フル 自己ベスト | 3時間36分35秒 | 2025/8/31 北海道マラソン |
| COROSのフル予測 | 2時間46分47秒 | 2026/9/8 時点 |
| リーゲル換算(10kmから) | 2時間49分18秒 | 36分48秒 × 4.601 |
| リーゲル換算(ハーフから) | 2時間54分09秒 | 1時間23分31秒 × 2.085 |
換算はどれも2時間46分〜54分に収まっている。そして実測は3時間36分35秒。

換算式は「2時間46分〜54分」と言っている
リーゲルの式
距離の違うレースのタイムを換算するときに使われるのがリーゲルの式だ。式そのものは単純で、「距離の比を1.06乗して掛ける」だけである。
換算タイム = 元のタイム × (新しい距離 ÷ 元の距離)1.06
10kmからフルなら、42.195 ÷ 10 = 4.2195 を1.06乗して4.601倍。36分48秒に掛けると2時間49分18秒になる。
ハーフからフルなら、距離はちょうど2倍なので2.085倍。1時間23分31秒に掛けると2時間54分09秒だ。
ちなみにこの係数、私は前に間違えて使っている。10kmからハーフへの換算を2.10倍だと書いていた。正しくは2.206倍だ。そのときの訂正は別記事に書いた。

COROSの予測も、発想は同じだ
時計の予測タイムを並べると、こうなっている。
| 距離 | COROSの予測 |
|---|---|
| 5km | 17分47秒 |
| 10km | 36分39秒 |
| ハーフ | 1時間20分39秒 |
| フル | 2時間46分47秒 |
10kmの予測36分39秒に対して、実際に走ったのが36分48秒。9秒差だ。短い距離では、この時計はよく当たる。
面白いのはフルの数字のほうだ。2時間46分47秒というのは、ハーフをちょうど1時間20分00秒——つまりサブ80ちょうど——で走った人をリーゲルで換算した値(2時間46分48秒)とほぼ同じである。
時計は、「サブ80を達成した人が走るフルマラソン」を予測している、と読める。
でも、実際のフルは3時間36分35秒だった
2025年8月31日、北海道マラソン。3時間36分35秒。時計の記録では42.41km・平均5分08秒/km・平均心拍166だった。
予測との差は49分48秒。ハーフから換算した2時間54分09秒と比べても、まだ42分26秒足りない。
この差を「まだ力がないから」で片づけると、何も分からないまま終わる。ラップを開いた。
49分48秒は、どこで消えたのか

見ての通りだ。グラフが途中で折れている。
24kmまでは、予定どおりだった
2〜24kmの平均は1kmあたり4分22秒。ばらつきも小さく、4分15秒から4分30秒の間にきれいに収まっている。
このペースを42.195km維持できていれば、3時間04分で走り終わっている計算になる。
25kmで、5分11秒になった
24kmが4分28秒。次の25kmが5分11秒。1kmで43秒落ちた。
そこから戻らなかった。26kmで4分39秒まで一度持ち直すが、31kmで5分24秒、35kmで6分12秒。
38kmは9分51秒。歩いた
38kmのラップは9分51秒。ストライドは64cm。これは走っている数字ではない。
その後も7分20秒、8分45秒、7分03秒と続く。最後の5kmで、およそ15分を落としている。
| 区間 | 平均ペース | 平均ストライド | 平均ピッチ |
|---|---|---|---|
| 2〜24km | 4分22秒 | 128cm | 179 |
| 25〜42km | 6分04秒 | 103cm | 165 |
| 差 | 1分42秒 遅い | −19% | −8% |
1kmあたり102秒。これが18km続いた。ここで30分が消えている。
心拍は、今回の根拠にしない
正直に書いておく。この日の心拍は16〜24kmで156〜160まで落ちている。ペースは変わっていないので、センサーが拾い損ねていた可能性が高い。
信用できないデータを都合よく使うと、結論も信用できなくなる。だから今回はストライドとピッチだけで話を進める。
落ちたのはピッチではなく、ストライドだった
上の表をもう一度見てほしい。ピッチは8%しか落ちていないのに、ストライドは19%落ちている。
落ち込みの幅が2倍以上違う。脚の回転はそこそこ保てていて、一歩の長さだけが縮んでいた。
128cmが103cmになるというのは、同じ100歩で25m進めなくなるということだ。
息が上がって走れなくなったのではない。脚が伸びなくなって走れなくなった。フルマラソンで「壁」と呼ばれているものの、私の場合の正体はこれだった。
換算式が黙っていること
ここまで見て、換算式の何が抜けているのかがはっきりした。
リーゲルの式は「そのペースを最後まで保てる」ことを前提にしている。1.06という指数は、距離が伸びたぶんの目減りをまとめて表しているだけで、どこで何が起きるかは何も言っていない。
だから、自分のデータで裏を取るしかない。

| ペース | 実際に走れた最長距離 | いつ |
|---|---|---|
| 3分42秒/km | 10.05km | 2026/9/6 石狩サーモン10km |
| 3分57秒/km | 21.21km | 2026/7/5 Fビレッジハーフ(自己ベスト) |
| 4分40秒/km | 32.17km | 2026/8/22 ロング走(練習の最長) |
| 5分08秒/km | 42.41km | 2025/8/31 北海道マラソン |
3分57秒で走れたのは21.21kmだ。それが自己ベストで、それ以上の距離を、そのペースで走ったことは一度もない。
ハーフから換算した2時間54分09秒というのは、1kmあたり4分08秒で42.195kmという意味になる。21kmで力尽きたペースの11秒落ちを、倍の距離で。
「できるかもしれない」ではあっても、「できる」ではない。

では、いま走ったら何分か
推測になるが、根拠のある推測をする。去年と今年の、フル前のロング走を比べる。
| 8月のロング走(30km前後) | 平均ペース | |
|---|---|---|
| 2025年 | 30.01km / 30.07km / 30.81km | 5分11秒 / 4分56秒 / 5分15秒 |
| 2026年 | 31.67km / 31.02km / 32.17km | 4分44秒 / 4分40秒 / 4分40秒 |
1kmあたり、およそ26秒速くなっている。同じ時期・同じ距離・同じコース帯での比較なので、条件はかなり揃っている。
去年のフルが5分08秒/kmだった。ここから26秒を引くと4分42秒/km、フルで3時間18分という計算になる。
いま走ったら、3時間10分〜3時間20分。サブ3.5は堅い。サブ3:15が目標圏。サブ3には届かない。
時計の2時間46分47秒とは、まだ30分以上の開きがある。そして、それでいい。予測タイムは「今できること」ではなく「この走力の人が、フル向けの準備を積んだら」の数字だからだ。
私はいま、フル向けの準備をしていない。最長走行距離は32.17km。フルの残り10kmを、今の走力で走ったことは一度もない。

2027年にサブ3を狙うということ
ここまでの数字を、そのまま目標に当てはめる。
| 1kmあたりのペース | |
|---|---|
| 現在のハーフ自己ベスト | 3分57秒 |
| サブ80(ハーフ1時間20分) | 3分47秒 |
| サブ3(フル3時間) | 4分16秒 |
| いまの見立て(フル3時間18分) | 4分42秒 |
サブ3は1kmあたり4分16秒だ。いまの見立てから、さらに26秒/km速くしなければならない。
この26秒という数字には見覚えがある。去年から今年で速くなったのが、ちょうど26秒/kmだった。
つまり、もう1年ぶん。2027年という設定は、願望ではなく計算から出ている。
だから2026年は、ハーフに全部賭ける
サブ3の4分16秒は、サブ80の3分47秒より29秒遅い。ハーフのレースペースとフルのレースペースは、この程度の差に収まるのが普通だ。
逆に言えば、ハーフを3分47秒で走れない人間が、フルを4分16秒で走れる道理がない。
サブ80は、サブ3の前提条件だ。だから2026年はハーフしか見ていない。10月4日の札幌マラソンと、11月1日のさよなら札幌マラソン。この2本ですべてが決まる。

予測タイムは、目標ではない
時計が出す予測タイムは便利だ。でもあれは「あなたの心肺は、この距離をこの速さで走れる能力がある」と言っているだけで、「あなたの脚が42km持つ」とは一言も言っていない。
私の場合、その差が49分48秒として出た。25kmから先の18kmに、全部入っていた。
2027年にフルへ戻るとき、この記事をもう一度開く。25kmでグラフが折れなくなっていたら、そのときが本番だ。
まとめ
- COROSの予測はフル2時間46分47秒。リーゲル換算は2時間49分〜54分。実際のフル自己ベストは3時間36分35秒で、差は49分48秒
- 去年の北海道マラソンは24kmまで4分22秒で走れていた。そのままなら3時間04分だった
- 25kmで5分11秒に落ち、そこから戻らなかった。38kmは9分51秒で、歩いている
- 落ちたのはピッチ(−8%)ではなくストライド(−19%)。息ではなく脚が止まった
- 3分57秒で走れた最長距離は21.21km。換算式は「その倍の距離を、ほぼ同じペースで」と言っている
- 去年から1kmあたり26秒速くなった。いま走れば3時間10〜20分と見ている
- サブ3にはさらに26秒/km必要=もう1年ぶん。そしてサブ80はその前提条件になる
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今回の記事で「落ちたのはピッチではなくストライドだった」と書いた。そのピッチ(ケイデンス)側を、COROSの実測データで掘り下げた記事がこちら。同じ北海道マラソンの数字を、別の角度から見ている。



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