2026年10月4日、札幌マラソンのハーフマラソンで1時間20分切り(サブ80)を目指している。
その挑戦の全19週計画のうち、今日で10週目が終わった。ちょうど折り返し地点である。
結論から書く。まだ足りない。
現時点でのハーフマラソン予測タイムは1時間23分02秒。目標まで3分2秒足りない。
達成レポートはネットに溢れている。だが「挑戦の途中」を数字つきで公開している記事は、ほとんど見かけない。うまくいっているところも、届いていないところも、都合よく編集せずにそのまま出す。それがこの中間報告である。
サブ80とは|ハーフマラソンを1時間20分で走るということ
サブ80とは、ハーフマラソン(21.0975km)を1時間20分未満で走ることを指す。1kmあたりの平均ペースにすると3分47秒。これを21km続ける必要がある。
市民ランナーの世界では、ハーフのサブ90(1時間30分切り)が「速い人」の入口とされることが多い。サブ80はそこからさらに10分速い。40代でここを狙うのは、正直に言って簡単な話ではない。
なぜ目指すことにしたのか
きっかけは、目標が「見えてしまった」ことだった。
| 日付 | レース | 記録 |
|---|---|---|
| 2026/5/17 | ノーザンホースパークマラソン | 1:24:43 |
| 2026/7/5 | Fビレッジハーフマラソン(エスコン) | 1:23:31(自己ベスト・一般男子の部B 8位) |
5月に1時間24分台、7月に1時間23分台。この2本を走ったとき、サブ80までの距離が「遠い夢」から「あと3分半」という具体的な数字に変わった。数字になってしまうと、もう見なかったことにはできない。

ただし、膝には爆弾を抱えている
自分の膝は万全ではない。半月板を損傷しているし、過去には棚障害(たなしょうがい)で一冬を棒に振ったこともある。
だからこの挑戦には、最初から一本のルールを引いてある。膝に違和感が出たら、その日のポイント練習は迷わず捨てる。10月4日のためにやっているのであって、8月の1本のためにやっているのではない。


10週間でやってきたこと|週4本のポイント練習と、756km
練習の骨格は、10週間ほとんど変えていない。朝練ができるのが火・木・土・日の4日だけという制約から逆算して組んだ形である。
| 曜日 | メニュー | 狙い |
|---|---|---|
| 火 | インターバル 1km × 5〜6本 | VO₂max(心肺の天井)を上げる |
| 木 | テンポ走 30〜38分 | 閾値(LT)=ラクに速く走れる境界を押し上げる |
| 土 | ロング走 26〜30km | レース後半の脚をつくる |
| 日 | ミドル走 14〜16km + 坂ダッシュ | 筋出力と、疲れた脚でのフォーム維持 |
| 平日 | 昼ラン 5km(同僚と会話ペース) | つなぎ。ポイント練の日はとにかくゆるく |
この4本は、鍛えている場所がそれぞれ違う。なんとなく走る本数を増やすのではなく、「今日はどこを鍛える日か」がはっきりしていることが、続けられている一番の理由だと思う。

平日の朝練はない。土日も含めて、走り出すのはだいたい朝4時台である。夏の札幌でまともにペース練習をやろうとすると、それ以外の選択肢がほとんどない。
10週間で756.3km

| 週 | 期間 | 距離 | メモ |
|---|---|---|---|
| W1 | 5/26〜6/1 | 79.1km | 新しい強度に慣らす週 |
| W2 | 6/2〜6/8 | 72.9km | |
| W3 | 6/9〜6/15 | 92.9km | 10週間で最も長い週 |
| W4 | 6/16〜6/22 | 84.9km | |
| W5 | 6/23〜6/29 | 38.4km | 膝に違和感。テンポ走を中断し、ロング走24kmを回避 |
| W6 | 6/30〜7/5 | 60.1km | 🏁 エスコンハーフ(1:23:31) |
| W7 | 7/6〜7/12 | 64.1km | レース後の回復週 |
| W8 | 7/13〜7/19 | 83.5km | |
| W9 | 7/20〜7/26 | 88.9km | |
| W10 | 7/27〜8/2 | 91.5km | ピーク週 |
| 合計 | 10週間 | 756.3km |
注目してほしいのは、グラフが一直線に右肩上がりではないことである。とくにW5は38.4kmまで落ちている。だがこれは、計画的に落とした週ではない。膝に違和感が出て、練習を止めた週である。
6月25日、テンポ走を1.6kmでやめた
W5はエスコンハーフの2週間前で、本来なら仕上げにかかる週だった。予定では火曜にインターバル、木曜にテンポ走、土曜にロング走24km。火曜のインターバルまでは、計画どおりこなしていた。
崩れたのは6月25日のテンポ走である。走り出してすぐ膝に違和感が出た。その日のログに残っているのは、1.61km・19分29秒・平均12分08秒/kmという数字だけだ。走ったというより、少し進んで、あとは歩いて帰った記録である。
そして週末に予定していたロング走24kmは、走らなかった。2週間後にレースが控えているタイミングで24kmを飛ばすのは、正直こわかった。それでも走らずに4日空けて、6月28日にようやく12kmをゆっくり流して様子を見た。
結果として、この判断は正しかったと思っている。その1週間後のエスコンハーフで自己ベストが出た。あそこでロング走を強行していたら、たぶんスタートラインにも立てていない。
走った距離だけが力になるわけではない。積んで、休んで、吸収して、また積む。そして時には、体の都合で強制的に休まされる。この上下があったからこそ、レース後に64km → 83.5km → 88.9km → 91.5kmと積み直せた。ここを我慢できずに毎週フルスロットルで走っていたら、たぶん7月のどこかで壊れていたと思う。
数字で見る、10週間の変化
体感ではなく、時計が記録した数字で並べてみる。
| 指標 | 5月時点 | 現在(8/2) |
|---|---|---|
| 閾値ペース(ラクに押せる上限) | 3’54″/km | 3’50″/km |
| インターバルの設定 | 3’43” × 5本 | 3’34〜37″ × 6本 |
| テンポ走の設定 | 4’00” × 30分 | 3’52” × 38分 |
| ロング走 | 26km(後半16km@4’25″) | 30km(後半14km@4’13〜17″) |
| ランニングレベル(COROS指標) | 92.6 | 93.4 |
| 安静時心拍 / 最大心拍 | — | 49bpm / 192bpm |
| 推定VO₂max | — | 59 |
自分でも意外だったのが、インターバルの進み方だった。コーチ設計のプランでは「8月末に3分35秒×6本が普通にこなせていれば射程圏」というチェックポイントが置かれていたのだが、これを約1ヶ月前倒しで通過してしまった。
7月28日のインターバルは、1km×6本を3分34〜37秒で全本クリア。最後まで垂れなかった。5月の自分に「その練習、あと2ヶ月で普通になるよ」と言っても信じないと思う。
ピッチ(ケイデンス)も走りの質を測る手がかりになる。この10週間はおおむね176〜180で安定していて、そこが崩れないうちは動きも保てている、という感覚がある。

正直な現状|足りない「3分2秒」の正体
ここからが、本当は書きたくないパートである。

練習は前倒しで進んでいる。距離も積めている。それでも予測タイムは1時間23分02秒で、目標との差は3分2秒。1kmあたりに直すと約9秒である。
今の巡航が3分56秒。これを3分47秒にして、21km押し切らないといけない。9秒は、走ったことがある人ほど「けっこうな差だな」と感じる数字だと思う。
なぜ足りないのか、自分なりの分析
理由は3つあると考えている。
①夏は、そもそもタイムが出ない
7月の札幌でも、日が昇れば気温は上がる。8月2日の坂練習は気温16℃で走りやすかったが、これは早朝だからこその数字である。暑熱下ではペースを保つのに余計な心拍を使う。つまり夏の練習ペースは、そのままレースペースの指標にはならない。
②予測タイムは「練習の積み上げ」から出る値である
時計が出す予測は、あくまで日々のトレーニングデータからの推定だ。レース当日の高揚感、集団のペース、給水の取り方――そういうレース特有の要素は計算に入っていない。実際、エスコンの実測1:23:31は、当時の予測より速かった。
③20km地点の丘が待っている
これが一番の課題である。エスコンハーフでは14〜16kmの登りでペースが4分05〜11秒まで落ちた。札幌マラソンにも終盤に丘がある。平地で3分47秒を出せることと、21km目の登りで3分47秒を守れることは、別の能力だ。
※ この記事の「予測タイム」について
COROSトレーニングハブが日々のトレーニングデータから算出した推定値であり、実測タイムではない。あくまで現在地を測るための目安として使っている。
良かったこと、きつかったこと
良かったこと
後半に上げる走りが、体に入ってきた
8月1日のロング走30kmは、前半16kmをゆっくり入って、後半14kmを4分13〜17秒で押した。5月の自分は「後半に上げる」という走り方そのものができなかった。前半で気持ちよく走って、後半に耐えるだけだった。今は、後半のために前半を我慢するということが、頭ではなく脚で分かるようになってきた。
坂の最後の1本が、一番速かった

8月2日、16kmのミドル走の途中で坂ダッシュを8本。100mを全力で駆け上がって、2分歩いて戻る、を繰り返す練習である。
坂ダッシュで一番大事なのは、本数をこなすことではない。最後まで出力が落ちないことだ。落ちるなら、本数が多すぎるか、前半に突っ込みすぎている。
この日は逆だった。前半4本の平均が3分44秒だったのに対し、後半4本の平均は3分22秒。そして8本目が2分56秒で、この日の最速。パワーも346Wと、他の本より70W以上高かった。こういう終わり方ができた日は、素直に気分がいい。
膝と、うまく付き合えている
10週間、756km。半月板損傷と棚障害の既往を抱えたまま、この距離を走れている。
もちろん無傷ではない。前述のとおり6月25日には違和感が出て、テンポ走を1.6kmで打ち切った。ただ、10週間を通して練習を止めたのはその1回だけで、しかも4日休んで流したら戻った。
守っているのは2つだけだ。ピッチを落とさないことと、違和感が出たらその場でやめること。6月25日は、そのルールが実際に働いた日だった。ルールは、決めておくだけでは意味がない。痛くなったその瞬間に発動できるかどうかがすべてである。
きつかったこと
- とにかく暑い。まともに走ろうとすると朝4時台に出るしかない。夏の練習は、走る前に「起きる」というハードルがある
- 8月1日のロング走、ラスト4kmで腰が落ちた。30kmのうち26kmまでは押せていたのに、最後で動きが崩れた感覚があった。ここはまだ課題
- 回復が追いつかない週がある。ピーク週を終えた8月2日時点で、時計のリカバリー指標は67%「きつい」。負荷比率126%。数字がはっきり「積みすぎだ」と言っている
- 自分のフォームを動画で見たときの落差。頭の中のイメージと、実際に映っていた自分の走りは、けっこう違った
残り9週の作戦
折り返した。ここからは「積む」と「削る」を切り替えていくフェーズに入る。
| 週 | 時期 | やること |
|---|---|---|
| W11 | 8/3〜 | 回復週。ロングも22kmに落とす。ここで欲張らない |
| W12〜W13 | 8/10〜 | 最後の積み上げ。ロング走の終盤にレースペース区間を入れる。W13は起伏コースで走る |
| W14 | 8/24〜 | 量を落として質を残す |
| W15 | 8/31〜 | 🏁 9/6 石狩サーモンマラソン 10km(37分15〜45秒が目安) |
| W16〜W17 | 9/7〜 | 再構築+最後の大仕事。最終ロング走はあえて起伏コースで |
| W18 | 9/21〜 | 🏁 9/27 白石こころーど 5km(本命7日前の刺激入れ) |
| W19 | 9/28〜 | テーパー。🏁 10/4 札幌マラソン ハーフ 本番 |
| W20 | 10/5〜 | 🏁 10/12 10km(本番後のピーク走力で10kmのPB狙い) |
9月27日のレースは、当初10kmで申し込むつもりだった。だが本命の7日前である。5kmなら2〜3日で回復するが、10kmだと4〜5日かかる。本番の脚を削ってまで走る意味はないと判断して、5kmに変更した。刺激入れとして使う。
悲観していない理由
3分2秒足りない、と書いた。それでも「無理だ」とは思っていない。理由は単純で、今の数字は夏に出したものだからである。
自己ベストの1時間23分31秒は、気温25℃・強風の中で出したタイムだ。10月4日の札幌は、朝の気温がひと桁になることも珍しくない。涼しさは、それだけでペースを押し上げてくれる。
そして残り9週のうち、まだ「最後の積み上げ」が2ブロック残っている。ここで閾値ペースが3分45秒前後まで上がれば、計算は合ってくる。
補給とシューズは、エスコンで手応えのあった形をそのまま踏襲する予定である。


まとめ|間に合うかは、まだ分からない
10週間で756km走った。閾値ペースは4秒上がった。インターバルの設定は1ヶ月前倒しでクリアした。膝も持っている。
それでも、予測タイムは1時間23分02秒。サブ80まで3分2秒足りない。
この記事を書こうと思ったのは、挑戦の「途中」があまりにも語られないからだ。達成できた話は誰でも書く。だが、うまくいっている部分と届いていない部分が同居している状態の記録は、あとから振り返っても取り戻せない。
都合の悪い数字を隠して、10月に達成レポートだけ出すこともできる。でもそれをやったら、その記事は薄っぺらいものになると思う。
間に合うかは、まだ分からない。だから面白い。
次の報告は、10月4日。そこで何が書けるかは、これからの9週間次第である。
また走ってきます。🍚

