ロング走の後半、あと3kmというところで補給食を1本入れる。そのときに一番困るのは、味でもカロリーでもない。疲れた手で、袋から中身を出せるかどうかだ。
今回試したメダリスト エナジージェルは、この一点で評価がはっきり分かれる補給食だった。こぼれにくさは図抜けている。その代わり、疲れてからだと押し出すのに力がいる。
2026年8月22日、32.17kmのロング走で実際に飲んだ。走行時間は2時間30分14秒、平均ペースは4分40秒/km。飲んだのはラスト3kmに入る手前——つまり、一番疲れているタイミングだ。正直に評価する。
先に結論|メダリスト エナジージェルはこういう補給食だ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| こぼれにくさ | ◎ 硬めのゼリー状。手の甲に出しても塊のまま形が残る |
| 開けやすさ | ◎ つまみが大きく、走りながら片手で切れる |
| 携帯性 | ◎ 薄型。パンツのメッシュポケットに入れっぱなしで気にならない |
| 味 | ○ 甘さは強めだが人工的ではない。苦みもほとんどない |
| 入手しやすさ | ◎ ドラッグストアで買える |
| 押し出しやすさ | △ 疲れてからだと力がいる |
結論を一行でまとめるなら、「疲れる前に飲む補給食」だ。レース前や前半に使うなら文句なし。ただし終盤に取っておく1本としては、正直おすすめしにくい。

メダリスト エナジージェルの基本スペック
メダリストは株式会社アリストのスポーツ補給食ブランド。同じシリーズの塩ジェルは真夏のランで使っているので、味の方向性はなんとなく想像できていた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 内容量 | 45g/1袋 |
| エネルギー | 106kcal(リンゴとはちみつ) |
| 炭水化物 | 26.6g |
| 食塩相当量 | 0.21g |
| たんぱく質・脂質 | 0g |
| 価格 | 270円(ドラッグストアで購入) |
| サイズ | 縦11.5cm × 横6.7cm の薄型 |
| メーカー推奨 | スタート30分前、および約1時間に1袋を目安 |


味は4種類。カフェイン入りはコーヒーのみ
| フレーバー | エネルギー | カフェイン |
|---|---|---|
| リンゴとはちみつ | 106kcal | なし |
| グレープフルーツとはちみつ | 107kcal | なし |
| ブドウとはちみつ | 106kcal | なし |
| コーヒーとはちみつ | 105kcal | 50mg |
4種類あるので、長いレースで同じ味に飽きるということは起きにくい。ただし今回飲んだのはリンゴとはちみつだけだ。他の3種は口にしていないので、味の評価はしない。カフェインが欲しい場面ではコーヒーという選択肢がある、という事実だけ書いておく。
32kmのロング走で実際に飲んでみた
携帯性|ポケットに入れっぱなしで存在を忘れる
スタートからずっと、ランニングパンツの背面メッシュポケットに入れて走った。薄型なので、走っている間はほとんど存在を忘れていた。


ゼリー飲料タイプだと重さと厚みが出るし、羊羹タイプだと角が当たることがある。その点、この薄さは素直に快適だった。
開けやすさ|つまみが大きく、片手で切れる
切り口のつまみが大きめに作られていて、走りながら片手で切れた。汗で手が濡れていても滑らなかった。ここは素直に評価できる。
食感|「ジェル」というより、硬めのゼリー
一番驚いたのがここだ。手の甲に出してみると、流れずに塊のまま形が残る。

一般的なエナジージェルは、傾ければとろりと流れる。この製品は流れない。つまり口に入れる途中でこぼれる事故が起きにくいということだ。ウェアを汚したくないレース本番では、これは地味に効く長所だと感じた。
味|甘さは強め。でも人工的ではない
甘さははっきり強い。ただ、後に残るような甘さではなく、はちみつとリンゴ果汁の甘さという感じで、素直においしいと思えた。
補給食にありがちな苦みや薬っぽさもほとんど感じなかった。「エネルギーを入れるために我慢して流し込む」タイプではない。
※ 味の感じ方には個人差がある。ここに書いているのは筆者ひとりの体感である。
唯一にして最大の弱点|疲れてからだと押し出すのに力がいる
こぼれにくさの裏返しが、そのまま弱点になる。硬いということは、押し出すのに力がいるということだ。
今回飲んだのは32kmのうちラスト3kmに入る手前。走り始めて2時間半近く、手も指も疲れている状態だった。そこで「あれ、思ったより出てこない」となった。袋の底から指で絞り上げるようにして、ようやく全部出し切った。

元気なうちなら気にならない差だと思う。だが終盤の疲れた手ではワンテンポ余計にかかる。ペースを落とさずに補給したい場面では、この数秒と握力が地味に効いてくる。
だからこの製品は、メーカーが推奨している「スタート30分前」や、レースの前半で使うのが素直な使い方だと感じた。実際にそう使うつもりだ。
他の補給食と比べてどうか|「カロリーが低め」の正体
飲んだときに「他のジェルよりカロリーが低くないか?」と感じた。実走レビュー済みの補給食と並べてみると、その感覚の正体がはっきりした。
| 商品 | 内容量 | エネルギー | 1gあたり |
|---|---|---|---|
| メダリスト エナジージェル | 45g | 106kcal | 2.36kcal |
| オレは摂取す | 45g | 109kcal | 2.42kcal |
| Challenger POWER LIQUID | 40g | 113kcal | 2.83kcal |
| 井村屋 スポーツようかん | 40g | 116kcal | 2.90kcal |
| マグオン エナジージェル | 41g | 120kcal | 2.93kcal |

つまり「カロリーが低い」のではない。106kcalという数字自体は他と横並びだ。そうではなく、45gという重さの中に入っているエネルギーが少なめ——1gあたりで見ると比較した5本の中で下から2番目、というのが正確な言い方になる。
これは善し悪しではなく設計の違いだ。エネルギー密度を上げれば、そのぶん粘度が上がったり甘さがきつくなったりする。メダリストは飲みやすさとこぼれにくさを優先した配合だと考えると腑に落ちる。
補給計画を立てるときは、この差を頭に入れておきたい。フルマラソンで3本使うなら、マグオンとの差は約42kcal。大きくはないが、ゼロでもない。
どんな人・どんな場面に向いているか
- レース前30分の1本として使う人(メーカー推奨の使い方。ここが一番ハマる)
- ハーフや30km走の前半で入れる人
- ウェアやジェルのベタつきが苦手な人(こぼれにくさは本当に優秀)
- 甘い補給食が好きな人(甘さは強めなので、控えめが好みなら別の選択肢を)
- 近所で買えることを重視する人(ドラッグストアで手に入るのは大きい)
逆に、フルマラソンの30km以降に取っておく1本としては積極的に勧めない。そこは、もっと軽い力で出せるタイプのほうが合っている。
気をつけたいこと|レース当日にいきなり使わない
これはメダリストに限った話ではないが、補給食は必ず練習で試してから本番に持ち込む。味の好みも、胃の反応も、そして今回のような「押し出しやすさ」も、実際に走りながら使ってみないとわからない。
今回のロング走で試したからこそ、「これは前半用だな」という判断ができた。ぶっつけ本番でこれを終盤の切り札にしていたら、確実に手こずっていたと思う。
※ 補給食の合う・合わないには個人差がある。体調に不安がある場合や、持病・アレルギーがある場合は、原材料表示を確認したうえで必要に応じて医師や専門家に相談してほしい。
まとめ|こぼれない代わりに、力がいる
メダリスト エナジージェルは、「こぼれにくさ」と「押し出しやすさ」を天秤にかけて、前者を選んだ補給食だ。
- 硬めのゼリー状で、手の甲に出しても流れない。ウェアを汚しにくい
- つまみが大きく、走りながら片手で開けられる
- 薄型でポケットに入れっぱなしにできる
- 甘さは強めだが人工的ではなく、苦みもほとんどない
- 45g・106kcal。1gあたりのエネルギーは軽めの部類
- 疲れてからだと押し出すのに力がいる。前半向き
- ドラッグストアで270円。すぐ手に入るのは大きな強み
個人的な結論は「レース前30分と、レース前半のローテーションに入れる」。終盤の1本は別の補給食に任せる。そういう住み分けができたのが、今回の一番の収穫だった。
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同じメダリストブランドの塩ジェルは、真夏のランで使っている。こちらは用途がまったく違う。

補給を「いつ・何を」入れるかの全体設計は、こちらにまとめている。

今回比較に出した補給食のレビューはこちら。






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