2026年9月6日、石狩サーモンマラソンの10kmを走る。
この大会は本命ではない。本命は4週間後の10月4日、札幌マラソンのハーフでサブ80(1時間20分切り)だ。今回の10kmは、その答え合わせのために走る。
目標は37分30秒。自己ベストの39分45秒を、2分15秒更新する計算になる。なぜその数字なのか、そして何を根拠にそれが出せると思っているのかを、走る前に全部書いておく。

なぜ10kmのレースを走るのか|これはサブ80の答え合わせだ
サブ80に必要なのは、21.0975kmを平均3分47秒/kmで押し切る力だ。
練習では、この夏ずっと閾値ペースを詰めてきた。ただ練習は練習でしかない。号砲が鳴って、周りに人がいて、決められた距離を全力で走るという状況は、ひとりの朝練では絶対に再現できない。
しかも今回のレースには、もう一つ目的がある。「疲れた脚でペースを上げる」練習だ。
8月15日のロング走ではラスト3kmを上げようとして脚が終わった。8月22日は上げられる状態だったが、無理をしたくなかったので上げなかった。この刺激だけが、2週続けて入らないままだった。
それが、レース8日前の8月29日にようやく入った。28kmのロング走で、23km走ったあとのラスト3kmを3分50秒/kmで押し切れた。詳しくは後述するが、この日の走りが目標設定の最後のピースになっている。
それでもレースを走る意味は変わらない。練習では「今日はどこまで上げるか」を毎回自分で決めなければならないが、レースなら号砲が鳴った時点でその判断がいらなくなる。迷わずに全部出せる場所は、練習では作れない。それが9月6日にレースを入れる一番の意味だ。
判定ライン|10kmで何分ならサブ80は現実的か
10kmのタイムからハーフマラソンを逆算する換算は、おおむね「10kmタイム × 2.10〜2.15」が目安とされる。この式にサブ80のライン(1時間20分00秒)を当ててみる。
| 10kmタイム | ハーフ換算 | 判定 |
|---|---|---|
| 37分00秒 | 1:17:42 〜 1:19:33 | 確実に射程 |
| 37分30秒 | 1:18:45 〜 1:20:38 | 狙う数字 |
| 38分00秒 | 1:19:48 〜 1:21:42 | ぎりぎり射程 |
| 38分30秒 | 1:20:51 〜 1:22:47 | 届かない可能性が高い |
| 39分45秒(現PB) | 1:23:29 〜 1:25:28 | 現在地 |

つまり38分を切れば射程内、37分30秒なら濃厚ということになる。逆に38分30秒より遅ければ、10月4日は目標を組み直したほうがいい。
この線を走る前に公開しておくのがこの記事の目的だ。走ったあとで「まあこんなものか」と言えてしまうのが一番よくない。
※ 換算式はあくまで目安であり、コースの起伏・気温・当日のコンディションで前後する。個人差も大きい。
目標は37分30秒|根拠は直近3週間のデータにある
「2分15秒更新」と書くと無謀に聞こえるかもしれない。だが直近3週間の練習データを並べると、それほど飛躍した数字ではない。
① テンポ走40分を3分52秒/km、心拍172
8月27日、40分間のテンポ走で10.36kmを平均3分52秒/kmで走った。平均心拍172、最高181。

注目したいのは後半のほうが速いことだ。3km目の3分58秒は坂の区間で、それを除けば一度も落ちていない。最後の3kmは3分48秒・3分50秒・3分49秒だった。
1週間前の同じ練習と比べると差がはっきりする。
| 8月20日 | 8月27日 | |
|---|---|---|
| 時間 | 30分 | 40分 |
| ペース | 3’54″/km | 3’52″/km |
| 平均心拍 | 173 | 172 |
| 最高心拍 | 187 | 181 |
| 接地時間 | 193ms | 185ms |
10分長く走って、2秒/km速くて、心拍は下がっている。1週間でこれだけ動いたなら、閾値そのものが上がったと考えていい。
② インターバル1km×6本を3分34〜38秒
8月25日のインターバルは、1km×6本を3分38秒・3分34秒・3分35秒・3分35秒・3分36秒・3分37秒。平均心拍158。
この日は高温多湿で、5本目から雨だった。走った直後の実感は「思ったようなタイムではなかった」だったが、設定は3分33〜37秒だったので、ほぼ全部レンジ内に入っている。体感は悪くても数字は崩れていなかった。
③ 坂ダッシュ8本目が、一番速かった
8月23日の坂ダッシュ100m×8本。タイムはこうなった。
| 本数 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイム(秒) | 21.3 | 21.2 | 21.6 | 21.3 | 23.3 | 20.0 | 18.5 | 17.2 |
5本目で明確に落ちてから立て直し、最後の1本が8本中もっとも速かった。しかもこのときケイデンスは208で最高、心拍は134で最低。崩れるどころか、最後に動きが噛み合っている。
この夏の練習で繰り返し出ているのが「終盤のほうが速い」という形だ。だからレースプランも、そこに賭ける。
④ そして8月29日、23km走ったあとに3分50秒で押せた
レース8日前のロング走28kmが、いちばん大きい根拠になった。前半12kmを4分51秒、中盤11kmを4分06秒でつないだあと、ラスト3kmを平均3分50秒/kmで走っている。
| ラスト3km | ペース | 心拍 | 接地時間 |
|---|---|---|---|
| 1km目 | 3’52” | 167 | 175ms |
| 2km目 | 3’50” | 164 | 175ms |
| 3km目 | 3’48” | 161 | 174ms |
加速しているのに、心拍が下がっている。接地時間174msは28kmを通していちばん短く、ケイデンスも187で最高だった。23km走ったあとに、その日いちばんいいフォームが出ていたことになる。
1週間前の同じメニューと比べると、変化がはっきりする。
| 同じ区間 | 8月22日 | 8月29日 |
|---|---|---|
| 中盤11km | 4’08” / 心拍164 | 4’06” / 心拍160 |
| ラスト3km | 4’08” / 心拍171 | 3’50” / 心拍164 |
ラスト3kmが1週間で18秒/km速くなって、心拍は7bpm下がった。2週間前は同じ場所で脚が終わっていたことを考えると、この変化はかなり大きい。
レース当日はフレッシュな脚で10kmを走る。23km走ったあとに3分50秒で刻めるなら、目標の3分45秒はけっして無茶な数字ではない、と考えている。
コースが読めた|高低差3mは、「平坦」ではなく「真っ平ら」
コース情報を確認したら、想像以上だった。最低標高2m、最高標高5m。高低差はわずか3mしかない。

普段走っているコースと並べると、その異常さがはっきりする。
| 距離 | 獲得標高・高低差 | 1kmあたり | |
|---|---|---|---|
| 8月22日 ロング走 | 32.17km | 獲得標高 54m | 1.7m |
| 8月29日 ロング走 | 28.32km | 獲得標高 65m | 2.3m |
| 9月6日 石狩サーモン | 10km | 高低差 3m | 0.3m |
普段の8分の1以下だ。上りで削られることも、下りでペースが勝手に上がることもない。プラン通りに刻めば、そのままタイムになるコースということになる。
だから、勝負を決めるのは風になる
地形が仕事をしないコースでは、変数は風しか残らない。そしてこのコースは、風に対してかなり無防備な形をしている。
スタートから5kmまでは北東から南西へ、ほぼ一直線。そこから長方形の底辺を横に移動して、8km過ぎに直角に曲がり、南西から北東へ市街地に戻る。行きと帰りが、ほぼ真逆の方位だ。周囲は田園と住宅地で、風を遮るものがない。
| 風向き | 起きること | どうするか |
|---|---|---|
| 前半が向かい風 | 後半が追い風になる | プラン通りでいい。後半は勝手に上がる |
| 前半が追い風 | 後半に向かい風が来る | 1〜5kmを3分48秒より速く走らない。余力を後半に取っておく |
追い風で入ると1〜3kmが気持ちよく3分40秒台で流れてしまう。そして8kmで折り返して向かい風に突っ込み、ラスト2kmで壊れる。これがこのコースでいちばん典型的な失敗だと思う。前日に風向きだけは必ず確認する。
4km続く一直線が、地味にきつい
1〜5kmは目標物のない直線が続く。前が見えすぎるので、距離が進んでいる実感が湧きにくい。ここで焦ってペースを上げてしまう人が多い区間だと予想している。
対策は単純で、時計を見るより、同じくらいのペースの人を1人見つけて後ろにつく。風も避けられて一石二鳥だ。
レースプラン|前半を捨てて、後半で取る
高低差3mのコースで、目標37分30秒は平均3分45秒/kmになる。均等割りにはしない。そして目印は「距離」ではなく「8kmの角」に置く。
| 区間 | 目標ペース | 狙い |
|---|---|---|
| 0〜1km | 3’50″/km | 人混みを抜ける。突っ込まない |
| 1〜5km | 3’48″/km | 長い直線。誰かの後ろにつく |
| 5〜8km | 3’44″/km | 淡々と。角までは我慢 |
| 8km | 直角ターン | ここが勝負どころ |
| 8〜10km | 3’40″/km 以下 | 残り全部出す |

このプランの成否は、最初の3kmで決まる。
スタート直後は必ず周りが飛ばす。10kmのレースは、序盤に突っ込んで後半で失速する人が本当に多い。そこに付き合った時点で、このプランは崩壊する。3分48秒は「余裕がある」と感じるはずで、その感覚が正しい。
そして8km地点の直角ターンを、はっきりした目印として使う。長方形の底辺から市街地に戻るために一度大きく曲がるので、そこでリズムが切れる。曲がるまでは我慢して、曲がったら解放する。平坦で目印のないコースだからこそ、この「角」が精神的な区切りになる。
ゴール前は市街地に入るので、細かい曲がりがあるかもしれない。ラストスパートは、最後の直線に出てからで十分だ。
もうひとつのリスクは、10時スタートであること
正直に書くと、タイム以上に不安なのはここだ。
| 普段の練習 | レース当日 | |
|---|---|---|
| スタート時刻 | 朝3時50分〜4時 | 10時00分 |
| 気温 | 涼しい | 上がっている |
| 食事 | ほぼ空腹 | 朝食後 |
| 体内時計 | 起きて数十分 | 完全に起きている |
普段は夜明け前に走っている。同じ体で、明るく暖かい10時に全力を出すのは、まったく別の作業だ。
対策として、レース3日前のテンポ走を早朝ではなく午前中にやることにした。1回でいいので、明るい時間帯に速いペースを踏んでおく。10月4日の本番も朝一のスタートではないので、ここで慣らしておく意味は大きい。
当日の装備と補給
- シューズ:ニューバランス FuelCell SuperComp Elite v5。レース専用に取ってあり、走行距離はまだ80km。10月4日の予行演習も兼ねる
- 補給:スタート30分前(9時30分)にゼリーを1個。10kmなのでレース中の補給はしない
- 給水:全部取る。10時スタートで気温が上がる想定なので、飲めるところは飲む
スタート前のゼリーは、直前にレビューしたメダリスト エナジージェルを使う予定だ。メーカーの推奨タイミングも「スタート30分前」で、硬めのゼリーでこぼれにくいのがレース会場では効く。

不安要素も書いておく
いいことばかり書いても仕方がないので、正直なところも残しておく。
睡眠が足りていない。この2週間、主睡眠は4時間台から5時間台をうろうろしている。8月27日のテンポ走がうまくいった日も、その朝の睡眠は4時間46分だった。
走れてはいる。ただ「走れているうちが一番あぶない」とも思っている。レース当日に向けて、ここだけは意識的に増やす。
もう一つ、ロング走用のシューズが寿命を迎えた。1,200km走ったプロペル v4は反発が完全になくなり、当面はボストン13に代役をさせている。レース自体はエリート v5なので影響しないが、本番までの練習の質には効いてくる。
まとめ|9月6日、答え合わせをしてくる
- 目標は37分30秒(3分45秒/km)。自己ベストを2分15秒更新する計算
- 38分を切ればサブ80は射程、37分30秒なら濃厚。38分30秒より遅ければ10月4日は組み直す
- 高低差3mの真っ平らなコース。プランはネガティブスプリットで、8kmの直角ターンまで我慢できるかが全て
- 根拠は直近3週間のデータ。テンポ走40分3分52秒、インターバル3分35秒前後、坂ダッシュは最後が最速、そしてレース8日前のロング走でラスト3kmを3分50秒
- 最大のリスクは10時スタート。普段は朝4時に走っている
目標を先に書いておくのは、正直こわい。届かなければそのまま記録に残る。それでも書くのは、そのほうが速く走れるからだ。
結果は、走ったあとに数字ごと全部公開する。
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