2026年8月22日。32.17kmのロング走を終えて、こう書いた。
プロペル限界なのかも。反発も何もない。
ニューバランス フューエルセル プロペル v4。その時点で1,183km(8月4日の実測)走っていた靴だ。
ランニングシューズの寿命は500〜800kmとよく言われる。倍以上履いていたことになる。
ただ、「ある日突然壊れた」わけではなかった。じわじわ死んでいたものに、その日ようやく気づいただけだ。アウトソールを全部撮ったので、その写真も出す。
5足を、それぞれ何km履いていたのか
私は練習の種類ごとに靴を分けている。まず、その内訳から。

| シューズ | 担当 | 走行距離 |
|---|---|---|
| プロペル v4 | 土 ロング走/日 坂ダッシュ | 1,183km |
| レベル v4 | 火 インターバル | 505km |
| ボストン 13 | 木 テンポ走 | 303km |
| ベアフット | 平日 昼ラン5km | 258km |
| SC エリート v5 | レースのみ | 80km |
週あたり約46km。土日の2回しか履いていないのに、5足の中でいちばん距離が伸びる。
理由は単純で、1回が長いからだ。インターバルは13km、テンポ走は12km。それに対してロング走は28〜32km。「履く回数が一番多い靴」と「走る距離が一番長い靴」は別だった。

寿命の目安の、1.5〜2.4倍履いていた
なぜ、気づかなかったのか
500kmを超えたあたりで、私は何も感じていなかった。800kmでも同じだ。1,000kmを超えても、走れてはいた。
これが厄介なところで、クッションはある日ゼロになるのではなく、毎回ほんの少しずつ減っていく。先週と今週の違いは、体では絶対に分からない。
比較対象が「先週の自分」しかないと、じわじわ進む変化には気づけない。
気づいたのは、ほかの靴を履いた日ではなく、一番負荷の高い日だった。32kmという距離が、初めて差を見せたということになる。
それでも、距離だけで替えなかった理由
正直に言えば、「まだ走れているのに替えるのはもったいない」と思っていた。1万数千円する。
それに、寿命500〜800kmという数字はメーカーや個人差で幅がある。体重、走り方、路面で変わる。「800kmだから替える」と機械的に決めるのも違う気がしていた。
結果として、1,183kmまで引っぱった。これが正解だったかは分からない。ただ、そのぶん「限界まで履いた靴がどうなるか」の記録は残った。
「反発がなくなる」とは、何が起きているのか
その日の練習は、32.17km
| 内容 | |
|---|---|
| 日付 | 2026年8月22日 |
| 距離 | 32.17km(この年いちばん長い) |
| 平均ペース | 4分40秒/km |
| 平均心拍 | 151 |
| 内容 | 起伏コース/後半11kmを4分08秒/ラスト3kmを3分56秒 |
走れてはいる。タイムも悪くない。数字だけ見れば、この日に何かが起きたようには見えない。
でも走っている側の感覚は違った。「押し返してくれない」のだ。着地したあと、足が沈んだまま前に出ない。地面を叩いている感じだけが残る。
数字より体感のほうが先に来た。これはあとで書く坂ダッシュの話にもつながる。
体感が正しいこともある
ふだん私は、体感よりデータを信じるようにしている。思い込みで練習を判断すると、だいたい間違えるからだ。
ただシューズに関しては、体感のほうが早かった。ペースにも心拍にも出ていない段階で、足だけが気づいていた。
アウトソールを全部撮った
1,183km走った靴が、どうなっているのか。

まず、つま先だ。接地面のラバーが完全になくなり、下の白いミッドソールがそのまま地面に触れている。ここまで来ると、削れる速度は加速する。ミッドソールはラバーより柔らかいからだ。

かかとは外側から減っている。私はかかとの外側から接地するタイプなので、素直にそこが削れた。靴の減り方は、自分の走り方の記録でもある。

そして横から見ると、ミッドソールが潰れている。新品のときは滑らかだった側面に、細かいシワが何本も入っている。
「反発がない」の正体はここだと思っている。踏んでも戻らない素材の上で、毎回32km走っていた。
同じ場所が減るという話

参考までに、木曜のテンポ走で履いているアディゼロ ボストン 13のアウトソールも撮った。距離は3分の1以下だが、減っている場所は同じ。かかとの外側だ。
靴が違っても、減る場所は同じになる。減っているのは靴ではなく、自分の走り方が当たっている場所だからだ。
靴を替えた翌日、坂ダッシュで一番いい内容が出た
8月23日。プロペルの使用をやめて、ボストン13で坂ダッシュ100m×8本をやった。

| 1本目 | 8本目 | |
|---|---|---|
| タイム | 21.26秒 | 17.21秒 |
| ピッチ | 193 | 208 |
| ストライド | 146cm | 168cm |
| 平均心拍 | 146 | 134 |
最後の1本が一番速く、一番ピッチが高く、一番ストライドが長く、一番心拍が低かった。坂ダッシュでこの形が出ることはめったにない。
ただし、これを「靴のおかげ」と言うつもりはない。
- 前日に32km走った翌日で、疲労の出方が普段と違う可能性がある
- ボストン13はロッドが入った軽量シューズで、そもそも坂ダッシュ向きの性格をしている
- n=1では、何も証明できない
言えるのは「替えた直後のセッションで、その日の最速が出た」という事実だけだ。因果はここでは断定しない。

それでも、すぐには買い替えなかった
死んだと分かった時点で、本番の札幌マラソンまで6週間だった。ここでの判断はこうだ。
| 決めたこと | 理由 |
|---|---|
| 本番前にプラットフォームは変えない | 違う構造の靴に替えると、脚の使い方が変わる。6週間で慣らすのはリスクが高い |
| 2足を同時に交換しない | レベルとプロペルを同時に替えると、不調が出たときに原因を切り分けられない |
| 新モデルは待たない | 発売時期が読めないものを本番前の計画に入れない |
| 本番はエリート v5 | 80kmしか履いていない。本番に新品も、本番に寿命間近も使わない |
結論として、本番まではボストン13に代役をさせることにした。木曜のテンポ走に加えて、土曜のロング走と日曜の坂も1足で受け持つ形になる。
ただし、これは単一障害点だ
承知のうえで書いておく。いま、3種類の練習を1足に集中させている。
- 性格が違う。プロペルはクッション重視、ボストン13は硬い軽量シューズ。30kmを硬い靴で踏むと、ふくらはぎとアキレス腱の負担が増える
- 距離の伸びが加速する。週13kmだったものが週60km以上になる
- この1足が死んだら、代わりがない
私は半月板損傷と棚障害の既往がある。ロング走のあとの張りは、毎回確認するようにしている。
代役を1か月続けた9月23日、ボストン13の裏を撮った。かかとの外側が丸くなり、前足部のラバーも表面がなめらかになってきた。なお、真ん中の白い部分は削れて出たのではなく、このシューズがもともとミッドソールをむき出しにした設計だ。減りはじめている場所は、プロペルと同じ外側だった。

後継は、10月4日を待たずに決めた。ニューバランス フレッシュフォーム X 860 v15 だ。9月中旬にすねを痛め、回復期のジョグをクッションのある靴で走りたくなった。履き込んだら、また書く。

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交換のサインは、距離ではなかった
この一件で残ったのは、こういうことだ。
500kmでも800kmでも、私は何も感じなかった。1,183kmで初めて「押し返してこない」と思った。距離のカウンターは、交換のタイミングを教えてくれない。
教えてくれたのは、その靴で一番長く走る日だった。ジョグでは分からない。32km走って初めて出た。
だから、一番長い練習の日に足がどう感じたかを覚えておくといい。「今日はいつもより脚に来たな」が2回続いたら、それがサインだと思う。
そしてアウトソールは、たまに撮っておくといい。並べて見ないと変化は分からない。今回、私は最後の1枚しか持っていなかった。次の靴は、おろした日に1枚撮ることにした。
まとめ
- ニューバランス フューエルセル プロペル v4 を1,183kmで引退させた。寿命の目安500〜800kmの1.5〜2.4倍
- 土日しか履かないのに一番距離が伸びた。「履く回数」と「走る距離」は別
- つま先はラバーが消えてミッドソールが露出。かかとは外側から減り、横から見るとミッドソールが潰れていた
- 気づいたのは32kmのロング走の日。ジョグでもテンポ走でも分からなかった
- 替えた翌日の坂ダッシュで8本中の最速が出た。ただし因果は断定しない
- 本番6週間前だったのでプラットフォームは変えず、ボストン13に代役させた。ただしこれは単一障害点でもある
- 交換のサインは距離ではなく、一番長く走る日の足の感覚だった


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