補給食といえば「糖質を入れてエネルギーにする」のが常識だ。でも今回試したVESPA(ベスパ)は、その常識とは真逆の発想でできている。「FAT IS YOUR FUEL(脂肪こそが燃料だ)」——パッケージにそう書かれたこのサプリは、なんとスズメバチ由来の成分を使ったスポーツサプリメントだ。
カロリーはたったの18kcal。補給食としては非常識なほど少ない。それなのに、多くのトレイルランナーやウルトラランナーに支持されている。いったい何が起きるのか——気になったので、実際に走って試してみた。
- VESPA EX-80とはどんなサプリなのか(スズメバチ・ローヤルゼリー・プロポリス)
- 実際に飲んだ味と、走ってみた正直な感想
- カロリー18kcalをどう捉えるか=「補給食」ではなく「スイッチ」という考え方
- 飲むべきタイミングと、どんなランナーに向いているか
VESPA(ベスパ)EX-80とは|「脂肪を燃料にする」という発想

VESPAは1994年から続く日本発のスポーツサプリメント。最大の特徴は、原材料に「スズメバチ抽出液」が使われていることだ。
メーカーによると、スズメバチは1日に100km近くも飛び回るという。その驚異的なスタミナの秘密が、幼虫と成虫の間で交わされる栄養交換にあるとされ、そこから着想を得て作られたのがこのサプリだという。ほかにも生ローヤルゼリーやプロポリスといった、ハチ由来の成分が配合されている。
メーカーが掲げるコンセプトは「FAT IS YOUR FUEL」=脂肪を燃料にするというもの。糖質を補給するのではなく、体脂肪をエネルギーとして使いやすい状態にすることを狙ったサプリメント、という位置づけだ。
📌 スズメバチ抽出液・ローヤルゼリー・プロポリスの働きについては、メーカーが「体脂肪が優先的に燃焼される」と説明しているものであり、効果には個人差がある。この記事は僕が実際に飲んで走った体験にもとづくもので、効果を保証するものではない。
基本スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | VESPA スポーツサプリメント EX-80 |
| 内容量 | 80ml(アルミスタンディングパウチ) |
| エネルギー | 18kcal |
| たんぱく質 / 脂質 | 0.1g / 0g |
| 炭水化物 | 5g |
| 食塩相当量 | 0g |
| 原材料 | はちみつ、スズメバチ抽出液、生ローヤルゼリー、プロポリス/ビタミンC、クエン酸 |
| 価格 | 1本 648円(税込)/12本入 7,776円 |
| その他 | ドーピングフリー・カフェインフリー・アレルギー物質28品目 該当なし |

注目したいのは「使用方法:運動の30〜60分前にお飲みください」という記載。これは走りながら食べる補給食ではなく、走る前に仕込むサプリだということが、パッケージにはっきり書かれている。ここがVESPAを理解する最大のポイントだ。
実際に飲んでみた正直な感想
味|甘さ控えめ、ほのかなはちみつ+ちょっと酸っぱい
原材料の筆頭が「はちみつ」なので甘いのかと思いきや、甘みはかなり控えめだった。ほのかにはちみつの香りがあり、そこにクエン酸由来と思われる酸味が少し乗る。
補給ゼリーにありがちな「甘ったるさ」がないので、走る前に飲んでも口の中がベタつかないのはありがたい。ゴクゴク飲むというより、キュッと一口で流し込む感覚だ。
⚠️ 見た目はゼリー、中身は「思いっきり液体」
ここは最大の注意点なので強調しておきたい。パッケージの形状はゼリー飲料そのものだが、中身はゼリーではなくサラサラの液体だ。
ゼリーのつもりでグッと強く押し出すと、勢いよく飛び出す。僕は初回、危うくこぼしかけた。キャップを開けたら、優しく傾けて飲むのが正解。走行中に慌てて飲むと事故になりかねないので、落ち着けるタイミングで飲みたい。

携帯性|悪くはないが、ジェルほど身軽ではない

80mlなので一般的なゼリー飲料よりはコンパクト。ランパンツの背面ポケットにも収まる。ただしアルミパウチにキャップが付いたぶんの厚みと硬さがあり、薄いジェルのようにペタッと収まるわけではない。「悪くはないが、ベストでもない」というのが正直なところだ。
もっとも、後述するとおりVESPAは走る前に飲むサプリなので、そもそも携帯する必要がない場面も多い。スタート前に飲んでしまえば、ゴミも家に置いてこられる。
18kcalをどう捉えるか|これは「補給食」ではなく「スイッチ」
率直に言って、エネルギー補給の観点ではVESPAは力不足だ。18kcalというのは、これまでレビューしてきた補給食と比べると桁が違う。
| 商品 | エネルギー | 役割 |
|---|---|---|
| VESPA EX-80 | 18kcal | 走る前のスイッチ役 |
| アミノバイタル トリプルショット | 180kcal | エネルギー+アミノ酸 |
| アルペンのエネルギーゼリー | 185kcal | エネルギー補給 |
| マグオン エナジージェル | 約120kcal | レース中のエネルギー |
ではVESPAは意味がないのか——というと、そもそも狙いが違うというのが答えだと思う。
ランナーが体内に蓄えられる糖質(グリコーゲン)は、およそ1,500〜2,000kcal程度が上限とされている。フルマラソンで「35kmの壁」やハンガーノックが起きるのは、この糖質が尽きるからだ。
一方で体脂肪は、糖質とは比較にならないほど大量のエネルギーを蓄えている。仮に体脂肪率が低いランナーでも、その保有エネルギーは数万kcal規模になる。もし脂肪をうまく使えれば、燃料切れのリスクは大きく下がる——VESPAが狙っているのは、まさにここだ。
📌 つまりVESPAは「燃料を入れるもの」ではなく、「体にある燃料(脂肪)を使いやすくするスイッチ」という位置づけ。だから18kcalで問題ない、という設計思想だと理解すると腑に落ちる。
この考え方でいくと、VESPAは糖質系の補給食と競合しない。むしろ併用するものだ。走る前にVESPA、走行中はジェルやゼリーで糖質を補給する——という組み合わせが理にかなっている。
飲むタイミングと、こんなランナーにおすすめ
タイミングは「運動の30〜60分前」
パッケージに明記されているとおり、運動の30〜60分前が推奨。走り出す前に飲んでおくことで、動き始めから脂肪をエネルギーとして使いやすい状態を狙う、という設計だ。
レース当日なら、スタート30〜60分前の待機時間に飲むのがちょうどいい。ロング走なら家を出る前でもいい。「走りながら食べる」ものではないので、そこだけ間違えないようにしたい。
もうひとつ、パッケージには「いつも以上にこまめに水分補給をしてください」という注意書きもある。夏場は特に、給水とセットで考えるのが大切だ。
向いていると思うランナー
- ロング走・ウルトラ・トレイルなど、長時間動き続ける人(脂肪をうまく使えるメリットが大きい)
- 後半にエネルギー切れを起こしがちな人(ハンガーノック対策の一手として)
- カフェインを避けたい人(カフェインフリーなので夜のランや、カフェインが苦手な人にも)
- ドーピング検査の対象になる競技者(ドーピングフリー認証がある)
逆に、こんな人には向かない
- 手軽にエネルギーを入れたい人→ 18kcalでは足りない。糖質系の補給食を選ぶべき
- 甘いもので気合いを入れたい人→ 甘さ控えめなので物足りない
- 1本100円前後のコスパを重視する人→ 1本648円は補給食としては高価な部類
まとめ|「脂肪を使う」という選択肢を知っておく価値はある
VESPA EX-80は、これまでの補給食とはまったく別の考え方でできたサプリメントだった。
- ◎ 甘さ控えめで飲みやすい/カフェインフリー・ドーピングフリー/走る前に仕込めるのでゴミを持ち歩かなくていい
- △ 18kcalなのでエネルギー補給としては不十分/1本648円と高め/中身が液体なので押し出しに注意
正直に言えば、「飲んだ瞬間に劇的に何かが変わる」という類のものではない。効果の感じ方には個人差もある。それでも、「糖質だけに頼らない」という選択肢を持っておくこと自体に価値があると感じた。特にサブ80のような後半勝負のレースでは、燃料の使い方が結果を左右する。
補給の全体設計についてはハーフマラソンの補給戦略にまとめている。走行中の糖質補給と組み合わせて考えたい人は、あわせて読んでみてほしい。


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