ハーフマラソンの自己ベストは1時間23分31秒。2026年7月5日、Fビレッジハーフマラソンで出した。
時計のログを見返していて、気づいたことがある。この日の獲得標高は205mだった。今年走った3本のレースの中で、一番登っているコースだった。
「タイムが出やすいコースだったんでしょう」と言われたら、違う、と答えることになる。
そして10月4日、札幌マラソンのハーフを走る。公表されている高低差は81m。Fビレッジより大きい。ここで「じゃあ札幌のほうがきついのか」と考えると、たぶん間違える。
高低差と獲得標高は、別のものを数えているからだ。
今年の3レースを、獲得標高で並べる
すべてPACE 4での実測だ。

| レース | 距離 | 獲得標高 | 1kmあたり | 平均ペース |
|---|---|---|---|---|
| 石狩サーモンマラソン 10km 2026/9/6 | 10.05km | 4m | 0.4m | 3分42秒 |
| ノーザンホースパーク ハーフ 2026/5/17 | 21.16km | 86m | 4.1m | 4分01秒 |
| Fビレッジ ハーフ(自己ベスト) 2026/7/5 | 21.21km | 205m | 9.7m | 3分57秒 |
石狩サーモンの4mというのは、ほぼ真っ平らということだ。実際、走っていて登った記憶がない。
対してFビレッジは205m。ノーザンホースパークの2.4倍登っている。それでいて、ペースは4秒/km速い。


「高低差」と「獲得標高」は別物だ
ここを分けておかないと、コースの比較が全部おかしくなる。
| 用語 | 何を測っているか |
|---|---|
| 高低差 | コース上の一番高い地点と一番低い地点の差。2点しか使わない |
| 獲得標高(累積上昇) | 登った分を、全部足したもの。下ってまた登れば、そのぶん増える |

上の図のAとBは、どちらも高低差50mだ。でもAは一度登って一度下るだけ、Bは5回登って5回下る。獲得標高は50mと250mで、5倍ちがう。
脚を削るのはBのほうである。登り返しのたびに、その日の脚が少しずつ減っていく。
ところが大会のサイトで公表されるのは、たいてい高低差のほうだ。コース図と一緒に「高低差○m」と書いてある。獲得標高が書かれていることは、ほとんどない。
高低差はコースの形を教えてくれない。「一番高いところと低いところが何m離れているか」しか言っていない。
等価ペースという指標がある
起伏を補正したら何秒だったか
COROSには「等価ペース」(Adjusted Pace)という数字がある。登り下りの影響を差し引いたら、平坦ではどのくらいのペースだったかを時計が推定した値だ。
3レースの補正幅がこうなっている。
| レース | 獲得標高 | 平均ペース | 等価ペース | 補正 |
|---|---|---|---|---|
| 石狩サーモン 10km | 4m | 3分42秒 | 3分41秒 | 1秒/km |
| ノーザンホースパーク | 86m | 4分01秒 | 3分59秒 | 2秒/km |
| Fビレッジ | 205m | 3分57秒 | 3分51秒 | 6秒/km |
獲得標高が増えると、補正も増えている。ざっくり言えば、1kmあたり1m登るごとに0.5〜0.6秒くらいという関係になっている。私の3本ではそうなった、という話ではあるが。
ただし、これは時計の推定である
念のため書いておく。等価ペースは実測ではなく、時計のアルゴリズムが出した推定値だ。
実際、獲得標高4mの石狩サーモンでも1秒の補正がついている。完全にゼロにはならない。だから6秒という数字も、そのまま鵜呑みにはできない。
目安として使う。それ以上には使わない。
自己ベストを、平坦に置き換えてみる
Fビレッジの等価ペースは3分51秒/kmだった。これを21.0975kmぶん走ったと考えると、こうなる。

| タイム | |
|---|---|
| Fビレッジの実際のタイム | 1時間23分31秒 |
| 平坦換算(等価ペース3分51秒) | 1時間21分14秒 |
| サブ80 | 1時間20分00秒 |
差は74秒。7月の時点で、平坦なコースなら74秒差まで来ていた計算になる。
この数字には少し驚いた。私はずっと「まだ3分半足りない」と思って練習していた。足りていなかったのは走力だけではなく、コースの読み方だった。

では、この2ヶ月で本当に伸びたのか
ここは正直に書く。自分に都合の悪い読み方も成り立つ。
石狩サーモンの結果レポでは、生のタイムを換算して「2か月で63秒ぶん走力が上がった」と書いた。7月のハーフ1時間23分31秒と、9月の10km 36分48秒を比べた計算だ。

ところが、コースを補正して並べると、こうなる。
| ハーフ換算 | 根拠 | |
|---|---|---|
| 7月・Fビレッジ | 1時間21分14秒 | 等価ペース3分51秒での平坦換算 |
| 9月・石狩サーモン | 1時間21分11秒 | 10km 36分48秒 × 2.206(リーゲル) |
3秒しか違わない。
つまり「63秒の伸び」のかなりの部分は、9月のコースが平坦だったことで説明できてしまう。
生のタイムを並べただけでは、伸びたのかコースが違ったのかが分からない。
どちらが正しいかは、いまは決められない。等価ペースも時計の推定だし、10kmとハーフでは疲れ方も違う。だから断定はしない。
ただ、「63秒伸びた」だけを信じて安心するのは危ない、とは言える。
では、10月4日の札幌マラソンはどうなのか
公表されているのは高低差81mだけ
札幌マラソンのハーフのコースデータを見ると、こうなっている。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 距離 | 21.0975km |
| 最低標高 | 18m |
| 最高標高 | 99m |
| 高低差 | 81m |
| 獲得標高 | 公表されていない |
スタートとゴールは真駒内セキスイハイムスタジアム。真駒内から市街地へ下って、大通で折り返し、また真駒内へ戻る。
この形なら、下って登って帰ってくる。高低差81mというのは、その落差のことだ。
知りたいのは獲得標高のほうなのに、それが分からない
高低差81mだけでは、行きが一気に下るのか、小刻みに上下するのかが分からない。
Fビレッジは高低差の数字だけ見ればもっと小さい。それでも獲得標高205mだった。数字の大小と、脚の削られ方は一致しない。
だから、走って測るしかない。本番前に一度、コースを実際に走る。獲得標高を自分の時計で取ってくる。
それを持ち帰ってから、10月4日のペース配分を決める。この記事の続きは、そのときに書く。
そして、11月1日をもう1本持っている意味
10月4日のあと、11月1日にさよなら札幌マラソンのハーフを走る。
この2本を並べて押さえた理由が、この記事を書いていてはっきりした。
- 10月4日は、起伏のあるコースだ。高低差81m。獲得標高は不明
- 11月1日は、10月4日で足りなかった場合の回収として押さえた
- コースが平坦なら、今回の計算がそのまま効く
サブ80という目標は、走力だけの問題ではない。どのコースで狙うかまで含めて設計するものだった。
2本あるのは保険ではなく、条件の違う2回を用意したということだ。

コースの数字は、走る前に見ておく
大会サイトに書いてある「高低差○m」は、コースの難易度ではない。
知りたいのは「合計で何m登るのか」と「それがどこに配置されているのか」の2つだ。前者は獲得標高、後者はコース図でしか分からない。
そしてどちらも、たいてい公表されていない。だから走った人のログが要る。
この記事が、次に同じコースを走る誰かの役に立てばいい。Fビレッジは205m登る。石狩サーモンは4mしか登らない。それだけでも、走る前に知っていたら組み立てが変わる。
まとめ
- 高低差は2点の差、獲得標高は登った総量。同じ高低差でも獲得標高は何倍も違う
- 自己ベスト1時間23分31秒を出したFビレッジは、獲得標高205m。今年の3本で一番登っていた
- 等価ペースの補正は4m→1秒、86m→2秒、205m→6秒。ただし時計の推定値なので目安
- Fビレッジの平坦換算は1時間21分14秒。サブ80まで74秒だった計算になる
- その一方で、「2か月で63秒伸びた」の多くはコースの違いで説明できてしまう。断定はしない
- 札幌マラソンのハーフは高低差81m。獲得標高は公表されていないので、本番前に実際に走って測る


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