「膝が痛いけど、走っていいのかわからない」
そんな不安を抱えたままランニングを続けているあなたに届けたい記事がある。
私は2024年の冬、左膝に違和感を覚えて病院に行ったところ、棚障害と半月板損傷の診断を受けた。「もう走れないかもしれない」と思った日から約1年半。今も月300km、朝4時から走り続けている。
この記事では、棚障害とは何かという基本から、私自身の発症〜リハビリ〜現在の取り組みまで、すべて実体験をもとに書く。
筆者のスペック
- 札幌在住・40代・サラリーマンランナー
- ランニング開始:2024年4月(陸上経験なし・ダイエット目的)
- 足のタイプ:偏平足・幅広
- 故障歴:左ひざ棚障害+半月板損傷
- 自己ベスト:フルマラソン 3時間36分 / 10km 39分51秒
- 現在の練習量:月約300km
棚障害とは何か

膝の内側には「滑膜ひだ(棚)」と呼ばれる薄い組織がある。通常は柔軟でほとんど問題になりないが、走り込みや急激な運動量の増加で繰り返し摩擦が起きると、この組織が炎症を起こす。これが棚障害(タナ障害)だ。
ランナーに多い膝トラブルの一つだが、同じ膝の痛みでも痛む場所が違いる。
- 棚障害:膝のお皿(膝蓋骨)の上側〜内側が痛む
- ランナーズニー(腸脛靭帯炎):膝の外側が痛む
- 膝蓋腱炎(ジャンパーひざ):お皿の下側が痛む
自分の膝のどこが痛いかを確認するだけで、ある程度の絞り込みができる。お皿の上や内側が痛む場合は、棚障害を疑ってみてください。
自分が棚障害になった経緯
2024年の冬、走り終わった後から左ひざのお皿の上側に違和感が出始めた。
心当たりはすぐにわかりた。真冬にウォームアップなしで走っていたこと。気温が低い状態で筋肉が硬いまま負荷をかけ続けた結果だと今は理解している。
病院でMRIを撮ったところ、棚障害に加えて半月板損傷も発覚。ただし半月板の方は自分でも気づかないほど古い傷で、おそらくずっと前からあったものが今回の検査で見つかった形だった。
「走れなくなるかもしれない」という恐怖と、「でも走りたい」という気持ちが同時にあった。
病院でのリハビリ(2025年2月〜8月)

約半年間、整形外科に通いリハビリを行いた。メインは体幹強化だった。
棚障害は膝だけの問題ではありない。体幹が弱いことで膝への負担が増え、発症・悪化しやすくなる。リハビリを通じて体幹を鍛え、膝にかかる負担を全身に分散させることが目的だった。
リハビリ中も完全休止はせず、強度を落としながら走り続けた。今振り返ると、無理しすぎた部分もあったと思いる。
走りながら治す難しさ
リハビリ中、担当の理学療法士には「完全に休んだほうが早く治る」と言われた。でも走るのをやめる選択肢は自分の中になかった。正直に言えば、走らないことへの恐怖のほうが膝の痛みへの恐怖より大きかった。
結果として「完全休止しないまま約6ヶ月のリハビリ」という半端な選択になった。完治はしなかったが、月300kmを維持しながらフルマラソン3時間36分・ハーフ1時間24分43秒という自己ベストを出せた。これが正解だったかどうかは今もわからない。ただ、走りながらでも体幹と骨盤を整えれば、膝への負担は確実に減らせるというのは体感として言える。
注意:棚障害が疑われる場合はまず整形外科へ。MRIで正確に診断してもらうことが最優先だ。走りながら治すかどうかは、医師の判断を聞いたうえで自己責任で決める話だ。
ウォームアップで変わったこと
発症前の自分は「ウォームアップ=もったいない時間」だと思っていた。せっかく早起きして走り出たのに、準備運動で時間を使いたくなかった。
今は逆だ。走り出す前の10分が、その日の練習の質を決めると思っている。特に冬の朝ランは、筋肉が固まった状態でいきなりペースを上げることが棚障害の直接の引き金になった。
今やっているウォームアップ(5〜10分)
① 足首回し・ふくらはぎのストレッチ(各30秒)
② 股関節の動的ストレッチ(レッグスイング 前後・左右 各10回)
③ 腸腰筋ストレッチ(各30秒)
④ 最初の1kmはキロ6〜7分でゆっくり入る
これだけで走り終わり後の膝の痛みが明らかに軽減した。「ウォームアップは面倒」という人こそ、一度試してほしい。
偏平足と棚障害の関係
私は偏平足+幅広足だ。足のアーチが崩れていると着地の衝撃が膝に集中しやすく、棚障害のリスクが高まると整形外科で指摘された。
対策として今はインソール(サポートタイプ)を使っている。シューズのソールだけでは補えないアーチサポートを補助的に入れることで、膝への負担の分散が改善されてきた。
偏平足のランナーで膝の内側に痛みがある場合は、シューズのフィッティングとインソールを見直すことを強くおすすめする。
現在の状態と取り組み
リハビリ終了後も走り続け、今は月300km。走っている最中はほとんど痛みを感じないが、10km以上走り終えた後に痛みレベル3〜4(10段階)程度の鈍い痛みが残る。
最近、整体師から「骨盤の歪みと姿勢の悪さが膝への負担を増やしている」と指摘を受け、根本からのアプローチを始めた。毎朝・休養日に以下の骨盤リセットメニューを取り入れている。
骨盤リセットメニュー(朝・休養日)
| 種別 | メニュー | 時間/回数 |
|---|---|---|
| ほぐす | お尻ほぐし(ボール)左 | 30〜60秒 |
| ほぐす | お尻ほぐし(ボール)右 | 20〜30秒 |
| 伸ばす | 腸腰筋ストレッチ 左 | 30秒×1〜2 |
| 伸ばす | 腸腰筋ストレッチ 右 | 30秒×1 |
| 動かす | レッグスイング前後 左右 | 各10回 |
| 動かす | レッグスイング左右 左右 | 各10回 |
| 動かす | 股関節回し 左右 | 各5回 |
| 使う | クラムシェル 左 | 12〜15回 |
| 使う | クラムシェル 右 | 8〜10回 |
| 使う | 片足立ち 左 | 30秒 |
| 使う | 片足立ち 右 | 20秒 |
| 使う | もも上げ 左右 | 各10回 |
左右の回数が違うのは、故障している左ひざ側の負荷を意識して調整しているためだ。
棚障害になりやすい人の特徴

自分の経験と照らし合わせると、以下に当てはまる人は要注意だ。
- ウォームアップが不十分(特に冬場・朝イチ)
- 体幹・股関節まわりが弱い
- 骨盤の歪みや姿勢の悪さがある
- 練習量が急増した時期がある
- 偏平足や足のアーチが崩れている
私は全部当てはまっていた。
棚障害と付き合いながらハーフ1時間24分を出せた
2026年5月、ハーフマラソンで1時間24分43秒を記録した。棚障害の診断から約1年半後のことだ。
「膝が痛いのに走って大丈夫なのか」という不安は今もある。走り終えた後には鈍い痛みが残る。でも走ることをやめる気はない。体幹を鍛え、ウォームアップを丁寧にして、骨盤を整える。やれることをやり続けることが、今の自分にできる最善だ。
棚障害は「治る」ものではなく「うまく付き合う」ものだと思っている。完治を目指すより、痛みと向き合いながら走り続けるための習慣を作ることのほうが、長い目で見て大事だと実感している。
まとめ:棚障害と付き合いながら走るために
棚障害は「膝だけ」の問題ではありない。骨盤・体幹・姿勢という上流の問題が、膝という末端に出てくるイメージだ。
診断から約1年半、まだ完治はしていない。でも月300kmを維持しながら、フルマラソンも走れている。
「走れない体」ではなく「走り方を変える体」になる。それが今の自分のテーマだ。
骨盤リセットメニューの効果や、インターバル・テンポ走を含めた練習との両立については、今後も継続して記事にしていく。

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