練習メニューをAIと一緒に組んでいたとき、こんな言葉が出てきた。
「ランニングの三大要素を意識しましょう」
三大要素?聞いたことはあるけど、正直よくわかっていなかった。インターバルもテンポ走も「なんとなくきつそうだからやる」くらいの感覚で続けてきた。でもそれって、目的を知らずに薬を飲んでいるようなものだなと思って、ちゃんと整理することにした。
むずかしい話は苦手なので、できるだけ自分の言葉でまとめてみる。ランニング歴2年ちょっと、フルマラソン3時間36分の40代おじさん目線でどうぞ。
ランニングの三大要素とは
ランニングのパフォーマンスを決める要素は大きく3つに分けられるらしい。
- VO2max(最大酸素摂取量)= 心肺のエンジン
- LT値(乳酸性作業閾値)= 苦しくなる手前のスピード
- ランニングエコノミー(RE)= 体の燃費
この3つが”速く、長く走る力”を決める柱になっている。どれかひとつだけ突出してもダメで、3つがバランスよく高まることが大事らしい。自動車に例えると「エンジンの大きさ・燃料の効率・タイヤのグリップ」みたいなイメージ。
1. VO2max(最大酸素摂取量)= 心肺のエンジンの大きさ

科学的な定義は「単位時間あたりに体が取り込んで利用できる酸素量の最大値」。これだけ読んでもわからない。
自分なりの解釈はこう。「どれだけ苦しくなるまでの余裕があるか」を決める数値。酸素をいっぱい取り込めるエンジンを持っている人は、同じペースで走っても消費している割合が少ない。だから余力が残る。
マラソン選手のVO2maxが80前後あるのに対して、一般人は40〜50くらいが平均らしい。COROS Pace4にもVO2maxの推定値が出るんだけど、自分の数値を見たとき「まあそんなもんか」と思った。エンジンの大きさはすぐ変わるものじゃないけど、地道に積み上げれば確実に上がる。
VO2maxを鍛える主な練習
- インターバル走(1000m×4〜6本など)
- 短い坂ダッシュ(30〜60秒)
- レペティション(短距離を速いペースで繰り返す)
共通しているのは「VO2maxの90%以上の強度で追い込む」こと。ハアハア言うくらいきつい練習がこれにあたる。自分でいえば火曜のインターバルがまさにこれ。終わったあとしばらく動けないくらいきつい。でもそれが正解らしい。
2. LT値(乳酸性作業閾値)= 苦しくなる手前のスピード

「乳酸性作業閾値」という言葉が難しいけど、要は「きついけどギリギリ続けられる、その境界のペース」のこと。
運動の強度が上がると体内に乳酸が溜まっていく。ある一定の強度を超えると乳酸が急激に増えて、急に動けなくなる。そのラインをLT値と呼ぶ。
LT値が高い人は「速いペースでも乳酸が溜まりにくい」つまり苦しくなるスピードが速くなる。マラソンでいえば、レースペースをより余裕を持って維持できるということ。
自分の場合、テンポ走(4分10〜30秒/km)がLT値に相当する練習になる。しゃべれないけど完全には追い込んでいない、絶妙にきつい強度。最初のころは4分30秒/kmでもヒーヒー言っていたのに、今では4分10秒でも維持できるようになってきた。これがLT値が上がってきた実感だと思っている。
LT値を鍛える主な練習
- テンポ走(Tペース)
- LT走(20〜40分間ペース走)
- ビルドアップ走(後半ペースを上げる)
- ペース走
「ゼエゼエ言わないけどラクではない」という強度が目安。心拍数でいうと最大心拍の80〜90%あたり。ここを鍛えると、マラソンのレースペースが「しんどい」から「きついけどいける」に変わってくる。
3. ランニングエコノミー(RE)= 走りの燃費性能

ランニングエコノミーは「同じスピードで走るときに、どれだけ少ないエネルギーで走れるか」という指標。体の燃費と思えばいい。
VO2maxとLT値が同じ2人のランナーがいたとして、ランニングエコノミーが高い方が速く走れる。それくらい重要な要素なのに、あまり語られない気がする。
燃費に影響するのは主にこのあたり。
- フォーム:無駄な動きが少ないほど燃費がいい
- 筋力:腸腰筋・ハムストリングス・臀筋が特に重要
- 柔軟性:関節の可動域が広いと地面からの反力を使いやすい
- シューズ:カーボンプレートシューズが燃費改善に効果的とされている
自分の場合、COROS Pace4の計測では接地時間が185ms、上下動比が6.1%という数値が出ている。接地時間は短いほど良く、上下動は少ないほどエネルギーロスが少ない。「エリート水準に近い」と分析されたことがあって、フォームはそこそこ悪くないのかもしれない。ただ、筋力面はまだまだ課題がある。特に腸腰筋が弱い自覚があって、後半失速する原因のひとつだと思っている。
ランニングエコノミーを高める主な練習
- ジョグ(フォームを崩さずにゆっくり)
- 流し・ストライド(100m程度を気持ちよいペースで)
- 筋トレ(腸腰筋・ハム・臀筋)
- ストレッチ・柔軟
三大要素は「セット」で伸ばすもの
この3つは独立したものではなく、相互に影響している。
たとえばVO2maxが高くてもフォームが悪ければ(ランニングエコノミーが低い)、酸素を無駄に使ってしまう。LT値が高くてもVO2maxが低ければ、そもそものエンジンが小さいので速度の天井が低い。
だから練習メニューも、3つをバランスよく刺激する設計が大事になる。週に1回のインターバルでVO2maxを、テンポ走でLT値を、ジョグと筋トレでランニングエコノミーを。自分が今やっている練習が、ちゃんとこの三角形を回しているんだなと気づいた。
ランニングウォッチがあると三大要素の管理がラクになる
ここまで読んで「VO2maxとかLT値って、どうやって自分の数値を知るんだ?」と思った人もいるかもしれない。
答えはシンプルで、ランニングウォッチを使えばある程度自動で把握できる。
自分はCOROS Pace4を使っているんだけど、これが三大要素の管理にかなり役立っている。具体的に何がわかるかというと――
- VO2max推定値:走るたびに自動で更新される。自分のエンジンがどのくらいか数値で見える
- トレーニング負荷(TL):練習の積み上げが可視化される。オーバートレーニングの防止にも使える
- ランニングレベルテスト:短時間の計測で現在のランニング力をスコア化してくれる機能。VO2maxベースで算出される
- 接地時間・上下動比:ランニングエコノミーに直結するフォームデータも記録される
感覚だけで走っていたころと比べると、「今日の練習はVO2maxを刺激できているか」「LT域で走れているか」が数字でわかるようになった。練習の質が上がった実感がある。
特にランニングレベルテストは、三大要素を総合的に評価してくれるような機能で、自分の現在地を把握するのに便利だった。詳しい手順や結果の読み方は別記事にまとめたので、興味ある人はどうぞ。



まとめ
ランニングの三大要素をまとめると、こうなる。
| 要素 | 一言で言うと | 代表的な練習 |
|---|---|---|
| VO2max | 心肺のエンジン | インターバル走 |
| LT値 | 苦しくなる手前のスピード | テンポ走・LT走 |
| ランニングエコノミー | 走りの燃費 | ジョグ・筋トレ・ストレッチ |
「なんとなくきつそうだからやる」じゃなくて「これはLT値を上げるためにやっている」という意識があると、同じ練習でも質が変わってくると思う。少なくとも自分はそう感じるようになってきた。
目的意識を持って走ること。仕事でも同じだけど、ランニングで改めて気づかされている。


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